英語の冠詞である “the” と “a” は日本人にとって苦手な文法です。これは日本語にぴったりと当てはまる訳がないことが原因です。
しかし、ネイティブは正しく使えているというのもまた事実。つまり、たしかな使い分けの基準はあるはずなんです。
もちろん、母国語が英語でなければ完璧に使い分けることはなかなか難しい(日本語であっても間違えることはたくさんありますよね)ですが、ネイティブの感覚に近づいて、ほぼ正しく使い分けられるような考え方を今回は解説したいと思います。
“the” を使うときの原則
“the” と “a” の使い分けをするためには、 “the” の使い方を理解するのが手っ取り早いです。そうすれば自然と “a” の使い方も理解することができます。
では、”the” にはどのような意味があるのでしょうか。表面上は様々な使い方があるようでわかりづらいですが、ただ1つのこの原則が最も大切です。
この原則を使って少し例文を見てみましょう。
(1) Taro injured the left leg in a traffic accident.
(タロウ交通事故で左足にケガをした)
(2) Tokyo is the place where he was born.
(東京は彼が生まれた場所です)
(1)では、タロウの左足は1つしかないに決まっているので “a” ではなく “the” を使っています。
これがもし人間ではなく、例えばイカやタコなど足を複数持つ動物であれば “a” を使うことになります。しかし、人間の場合では左足はただ1つに決まるものなので “the” を使います。
(2)でも同様に、彼が生まれた場所というのは1つしかありません。そのため、”the” を用いた文になっています。
では逆に “a” を使う例を見てみましょう。
Jiro is a student of Sunshine high school.
(ジロウはサンシャイン高校の生徒です)
さて、学校には普通たくさんの生徒がいますよね。ジロウはその中の1人なので “a” を使った表現をしなければいけません。
これがもし、学校の生徒がジロウただ1人だけであった場合には “the” を使うことになりますが、そんな状況はなかなかないでしょう。
これらが “the” の意味として最も重要な原則とその例でした。しかし、これだけではまだ細かい使い分けをするのは難しいです。
それでは、他の様々な例をみながら使い分けの理解を深めていくことにしましょう。
“the” を使う場合とは
ただ1つに決まる場合に “the” を使うということですが、その中でも次に示すようなさまざまな場合があります。
1. 文脈からただ1つに決まる場合
前の文で出てきた話から、そのことを指しているのだなとわかり1つに決めることができるものです。
2. 連想によってただ1つと予想できる場合
前の文に直接は出てきませんが、だいたい何の話をしているのかが予想できるような時に使います。
3. その場の状況からただ1つに決まる場合
話し手と聞き手がいる場面から、指しているものがただ1つに決まるという場面があります。
4. 常識から考えてただ1つとわかる場合
文脈やその場の状況から決まるのではなく、もともと1つしかないものや、 “only” や “first” を伴うものなどは必ず1つのものを示しているために “the” を使います。
5. 共通の知識からただ1つに決まる場合
話し手と聞き手の暗黙の了解によってそれが何を指しているのかがわかっているようなときにも使うことができます。
まとめ
どのような場合でも “the” は原則に沿った意味で使われています。
上で述べた「場合」を覚える必要はありません。「ただ1つに決まる」という原則をしっかりと覚えておくようにしましょう。
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